ミラノの観光スポットNo1はドゥオーモ(ミラノ大聖堂)なのは当然なのですが、実にたくさんの教会が街中に点在しています。
犬も歩けば教会にあたる勢いですが、チェントロストーリコ(Centro Storico 歴史的市街区)の中央に行けば行くほど古い教会が数百と存在します。
1番古い教会は4世紀から、20世紀に入ってもかなりの教会が建設されました。
もちろん、歴史の中でナポレオンがミラノに進出した際や第2次世界大戦の爆弾等で失われた教会も200以上あったと言われています。
今回は、そんな数多い教会から「だまし絵」で有名なサンサティロ教会のサンタマリア礼拝堂をご紹介いたします。
サンサティロ教会の歴史について
正式名称はChiesa di Santa Maria presso San Satiro (キエーザ ディ サンタ マリア プレッソ サン サティーロ)です。
サンサティロ教会の場所には元々古代ローマ帝国時代の建物があり、次第に教会として利用されるように改造され、876年にはカトリック教の祈祷用としてサチェッロ(Sacelloサンサティロ礼拝堂)の記載が残っているそうです。
最も華やかなミラノ公国時代に入るのは1300年以降からで、イタリアの各地の小国の中でも権力を増していきました。
1476年よりミラノ公となったジャン・ガレアッツォ・マリア・スフォルツァの任命により、サンサティロ教会の建設工事が1478年よりサチェッロに増設する形で着手されました。
後のミラノ公イル・モーロ(ルドヴィーコ・スフォルツァ)が工事を引継ぎ、サンサティロ教会として1483年に完成し、現在の教会の正面ファザードが追加されたのが1871年になります。
その後、教会は後継者不在が続き誰も保存しなくなった時期が数十年続いたこともあったそうです。 そして1939年から1942年にかけて修繕が行われて、特にサチェッロ(サンサティロ礼拝堂跡)は復旧が見込めないほどに崩壊されていたそうです。
今現在でも、ミラノ市民の方もミサへ、そして多くはないですが欧米の観光客も見学に立ち寄る場所です。
ルネサンスを代表する建築家ドナート・ブラマンテ
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サンサティロ教会の裏側
ブラマンテは元々は画家を志し、後に建築家としてもミラノ公イル・モーロに仕えます。
彼の初仕事がこの聖サティロ教会でした。
その後はパヴィアのドゥオーモや最後の晩餐のあるサンタ・マリア・デッレ・グラーツィエ教会の設計顧問に就任。
この頃、ブラマンテはレオナルド・ダ・ヴィンチとも出会いその後も友好関係にあったそう。
その後、ローマへ移住し、1503年にサンピエトロ大聖堂の建築主任兼バチカン宮殿拡張を担当。(後にサンピエトロ大聖堂の計画は中断し、今は埋没しています。)
華やかなキャリアを持つブラマンテが初めて大きな仕事として手掛けたのがサンサティロ教会だったのですね!建築家としても華々しいキャリアを積んだブラマンテは画家としてもたくさんの作品を残しています。
サンサティロ教会の正面のフレスコ画もブラマンテによるものです。
だまし絵的フレスコ画でフェイクの奥行きは苦肉の策だった
サンサティロ教会の祭壇は教会入り口から見ると、普通に奥行きのある教会にしか見えません。
当時、サンサティロ教会の建設時から大きな問題になっていたのが、敷地不足だったそうです。
教会の設計でどうやっても祭壇の位置から奥行きのあるスペースを取ることができなかった。
こうしてブラマンテは苦肉の策として祭壇から背後へと奥行きのあるスペースがあるように見せかけるため、遠近法を用いたフレスコ画で対処したのでした。
祭壇に近づいていくと確かに奥行きと思っていた天井の空間は壁でした。
あたかも天井のように描かれたフレスコ画と壁の幅は97cmしかありません。
正面入り口からは奥行きが9,7mあるかのように計算されています。
正面と祭壇へ近づいて見比べると本当に面白いです!
正面左手には別名<慈悲のチャペル>が見学できます
9世紀には祈祷用のサチェッロ(Sacelloサンサティロ礼拝堂)として利用されていたと書きましたが、そのサチェッロの名残を見ることができます。
とても狭い空間なのですが、古代ローマから今に続く歴史があるのかと思うのと感慨深いですね。
正面奥にはルネッサンス時代に活躍した彫刻家兼建築家で、アゴスティーノ・フォンドゥーリが陶磁器にペイントしたラ・ピエタ(慈悲)が飾られています。
そして、礼拝堂の壁は、1940年ごろに復旧工事で発見された、9世紀~13世紀に描かれたと推定される壁画も見ることができます。
アクセス
アクセス: Via Torino 17 (ヴィーア・トリーノ17番)
サンサティロ教会はドゥオーモ広場からトリノ通りに入って100mほど進み、表通りから角を曲がるとひっそりと小さい教会が目に止まります。
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欧米の観光客の一部に知られているので多くの人は詰めかけません。静かに、でも訪問者の絶えない名所ですのでぜひ覗いてみてくださいね!
最後までお読みいただきありがとうございました!