2021年9月5日より10日まで、MDW(ミラノデザインウィーク)が開催されました。
日本でもデザインに関わるお仕事をされている業界の方や、デザインやアートを学んでいる学生の方などはご存知の方が多いと思います。
年々ミラノデザインウィークの知名度もかなり上がってきていますので
今回の記事では、ミラノデザインウィークがどうして世界最大のデザインの祭典になったのかのその背景や歴史についてリサーチしてみました。
みなさんの参考に少しでもなればとても嬉しいです!
ミラノデザインウィーク通常は4月に開催
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周知の通り、2020年2月にミラノから80km離れた街でパンデミックが発生し、瞬く間にミラノを州都とするロンバルディア州、そしてイタリア、ヨーロッパへと拡大していきました。
4月の開催は余儀なく10月に延長されたものの同年10月も混乱した状況で、翌年4月に持ち越され、延期に延期を重ねて2021年の9月にようやく開催となりました。
関係者は予想のつかない状況に巻き込まれたまま1年半ものあいだ段取りも準備も大変だったと思います。
MDWは毎年4月に行われます。イースターの祝日も変動があるようにMDWも日程は4月の第1週~第3週の7日間で開催されます。
メディア関係者は月曜スタート、一般公開が火曜スタート、そして日曜が最終日となります。
2022年は今のところ4月5日〜10日開催予定ですね!
MDW=ミラノサローネ+フオーリサローネ
さて、このミラノデザインウィークという名前は総称になります。
いろんな言い方があるのでここで整理してご紹介させてください!
ミラノサローネ の名称について
ミラノサローネは、国際家具見本市の正式名称が
Salone Internazionale del Mobile di Milano
<サローネ・インテルナツィオナーレ・デル・モービレ・ディ・ミラノ>
日本語では正式にミラノサローネという名称が使われています。
サローネが展示会、モービレが家具。
ミラノサローネ は1961年から始まったので今年でちょうど60周年です。
ミラノサローネ=世界最大のデザイン祭典の代名詞でもありますね。
由来はこちらの展示会の名称です!
フオーリサローネの名称について
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期間中はミラノ市内でもデザインに関するイベントが行われます。
イタリアのインテリア雑誌インテルニが <フオーリ・サローネ>と名付けて
ミラノ市内のイベントを雑誌でPR、特集を始めたのが1990年。
こちらもちょうど30年が経ちました。
イタリア語で「フオーリ」が外、「サローネ」が展示会の意味。
展示会場外=ミラノ市内で行われるデザインイベントの総称となりました。
ミラノサローネの展示会場に出展する企業だけではなく、
個人であるデザイナー達が単独で自分たちのデザインを自分たちのスタジオやアトリエで披露し始めたのが発展し、一大イベントとして<フオーリサローネ>を成立させたと言われています。
MDWの名称のまとめ
展示会場がミラノサローネ
ミラノ市内でイベント開催するのがフオーリサローネ
総称してミラノデザインウィークと言われるようになりました。
ミラノサローネが行われるローフィエラ会場について
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ミラノサローネが開催される展示会場はRho Fieraローフィエラです。
ミラノ市内ではなく、Rhoロー市とPeroペロ市に建設された会場になります。
こちらの会場は、実は世界でも大きい面積を誇る会場です。
世界の展示会場ランキング2020年度版によりますと
第1位はドイツのハノーバー(46.33万㎡)で、ローフィエラ会場は世界で第6位(34.5万㎡)です。
ちなみに日本で1番大きい会場は東京ビックサイト(青海展示棟を含む)第36位(14.18万㎡)※ 日本展示会協会様の資料より抜粋しました。
余談ですが、ローフィエラ会場は東京ドーム(4.7万㎡) 7,4個分でした!
このローフィエラ会場のホールがすべて利用されるのがミラノサローネです。
なぜ世界最大の家具見本市へ発展したのか?
第2次世界大戦後、日本だけでなくヨーロッパ各国も高度成長期に突入します。
ヨーロッパで機械化に成功したのはドイツだったようで、家具産業も大量生産が可能なのに対し、イタリアの製品はドイツに越され後発組でした。
この機械化と大量生産に変わってイタリアらしいブランドを作り出していったのが
創造力+職人技=デザインを強調した製品。
イタリア人の独創性と、そして長年培われてきた家具職人の高度な技を掛け合わせて
世界に唯一無二の<イタリア家具デザイン>を生産して行きました。
その背景からミラノサローネ は1961年より開催されます。
ミラノサローネという場所で、個性あふれるデザインは世界中で爆発的に評判になり注目される存在となりました。
多くのイタリア人デザイナーも誕生していたのでミラノ市内の展示も若手から世界的に評価のあったデザイナーが各々の製作を発表していく導線が着々と出来上がって行きました。
こうして、年々市内での出展が拡大発展し、個人やグループだけでなく
ミラノサローネ会場に参加しているイタリア家具メーカーのショールームがミラノ市内にあるため、そちらも一般公開するようないなったのだと思われます。
今では企業の世界観を「デザイン」で表現する場としても
世界へ認知度が上がってくると今度は家具業界以外でもデザインに関連する形で
企業が参加し、世界へ発信するデザインの祭典へと展開されます。
それまでは家具デザイン、プロダクトデザインがメインであったものが、
<デザイン>の視点から企業の世界観を表現する場にもなって行きました。
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1960年代から生身で実際に見ていたわけではないので
これまで見聞きした中で解釈した内容となりますが
全体の背景がどういった流れで今に至ったのかの足掛かりになれば幸いです。
今年のミラノサローネ名称はスーパーサローネ
2021年はパンデミックの被害を考慮した展示であり延期に延期を重ねた展示ということで名称もSuper Saloneとなりました。
いつと違い開催時期も規模もSuper「特別」なサローネの意味が込められているからでしょうか。
ミラノサローネ とスーパーサローネの比較
では、通常の盛大なミラノサローネが行われた2019年と今年度のスーパーサローネの比較を表にしてみました。
数字で比較すると改めて世界規模の展示であることがよくわかります。
ミラノ市の人口は約140万人と、都市として決して大きくはありません。
38万人が来訪すれば、ミラノの街が人混みでパンクするのが容易に想像できますね。
今年のフオーリサローネは?
フオーリサローネ展示通年は1200ほど2021年度は700ほどでした。
2020年3月に突如中止となり、延期に延期を余儀なくされての開催なので展示を予定していた企業も最終決断をするのに悩ましい状況がずっと続いたと思います。
ミラノサローネは世界で評価される場ではありますが、それなりにコストもかかるので展示参加も容易には決められなかたったと思います。
このような状況の中、たった1週間の期間限定のイベントにも関わらず700ものイベントが開催されたのはすごいことですね!
特に
ー グローバル企業 (車のメーカー、エレクトロニクス関連、ビールブランドなど )
ー 高級ファッションブランド
ー キュレーターやプロデューサーが展示に携わった会場
などの参加が多く見受けられました。
また、今年は特にSDGsへの高い意識が目立った具体的で実践的な内容の展示がさらに増えたように思われます。
今後もますますエコやリサイクル、持続可能なエネルギーの使い方に向き合う展示が増えるでしょう。
MDW2021最新トレンド情報を限定配信Facebookページ
実際にどんな展示があったのか知りたい方はぜひ、日本でご活躍なさっている2人のジャーナリストがフェイスブックページで配信している
ミラノデザインウィーク現地リポート「Milano Salone Description」をぜひご覧ください。
https://www.facebook.com/MilanoSaloneDescription
最新情報がアップされていて、解説もあるので非常に読みやすいですよ!
日本でMDW2021を存分に学べる報告会情報
デザイン界で活躍するジャーナリストが自分の足でミラノ中を歩き回り、最新の生の情報をまとめて伝えてくれるありがたい報告会が東京で年に1回開催されています。
実際に1日だけ、ジャーナリストの土田氏に同伴させてもらいましたが
推定3万歩は1日に歩かれて隅から隅まで大小の展示を丁寧に取材されていました。
それを連続6日間続けていらっしゃるのですごいとしか言いようがありません。
(私は1日の同伴でかなりの感動と足の悲鳴を体験した貴重な1日となりました。笑)
事前リサーチから、当日も事前に情報を知らないと現場での対応で視察するのは不可能な量と質です。
それをまとめて聴けるチャンスですし、フェイスブックのページ以上にたくさんのお話も聞けると思います。
デザインに興味のある方はクラウドファンディングからお申し込みください。
2021年度はオンラインでなさるそうですので世界中どこにいてもお申し込みが可能です。
https://ubgoe.com/projects/56
■報告会
10月22日〜 オンライン配信
※10月31日まで視聴可能
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ミラノデザインウィークについて、今回は歴史的な背景や、どうして世界最大規模にまで家具見本市が発展していったかをレポートいたしました。
みなさんのお役に立てましたら嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました!