夏の暑い時には、さっぱりとした喉越しのいい食事がどうしてもとりたくなりますが、イタリアにも夏定番の常温でも冷やして食べてもおいしい郷土料理が各地域にあります。
特に暑い南イタリアにはさっぱりと冷やして食べるメニューが多い傾向です!
今回ご紹介するメニューは地域別、そしてどんな定番の郷土料理なのかルーツをメインにレシピもご紹介しますね!
現地でしか食べれないメニューからおうちでも簡単に取り入れられる世界でも認知されているメニューまで一気にまとめてご紹介していこうと思います!
南イタリアから北イタリアまで地域別の冷製メニューお品書き
さぁ。せっかくの夏メニューなので真夏は灼熱のシチリア料理から、北イタリアへ向かってリストアップしてみます。
シチリア州 ー カポナータ Caponata
プーリア州 ー フリゼッレ Friselle
カンパーナ州ー カプレーゼ Caprese
ラーツィオ 州 ー ポモドーリ リピエーニ ディ リーゾ Pomodori ripieni di riso
トスカーナ州 ー パンツァネッラ Panzanella
エミーリア・ロマーニャ州 ー 生ハムとメロン Prosciutto e Melone
リグーリア州 ー ペーストジェノベーゼ Pesto alla genovese
以上で7品を今回はチョイスしてみました!
イタリアらしく、もちろん各家庭によって微妙に作り方は違います。
マンマの味を何代にもわたって受け継いでいるからか、自分の家のレシピが世界一おいしいと自慢して話し出すところが微笑ましいところでもあります。
各自のこだわりがあるので余計なことを言ったものなら怒られます。笑
今回の7品の中にはおうちごはんとして手軽に作れるものもありますし、見た目が華やかなものもあるのでホームパーティーの時に1品追加したい時にも便利かもしれませんね♪
では、それぞれのメニューを詳しくみていきましょう!
夏野菜がたっぷりのシチリア州の<カポナータ>
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日本ではラタトゥイユのイタリア料理版がカポナータと説明がされることも多いかもしれません。
ナスが主役でたっぷりの夏野菜煮込みを常温に冷ましていただく料理ですね。
シチリアの定番カポナータにはズッキーニやパプリカは入っていないそうです。
最近では、メイン料理の付け合わせや前菜で食べることもありますが、18世紀まではカポナータも立派なメイン料理の一品としてパンと一緒に食していたそうです。今では地中海全域でも食べられる定番メニューです。
語源学からはスペインのカタルーニャから渡来したと言われ、カタルーニャ君主国として今のスペイン領土の4分の1と南イタリア半島を制覇した1400年代に伝わってきた料理なのかもしれませんね。
ただ、トマトは1519年にメキシコへ上陸したスペイン人がヨーロッパに持ち帰ったものの、食用となったのは19世紀に入ってからなので、トマトがレシピに導入されたのはそれ以降ということになりますね。
シチリア州の中でも地域によって、パレルモ風、アグリジェント風、トラパノ風、カターニャ風とあり、松の実やアーモンドを入れるなどの違いがあったり、甘みを引き立たせるために砂糖を加えるのですが、砂糖の代わりに蜂蜜やレーズンを使用する地域もあるそうですよ!
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またナポリ風のカポナータというのもあるのですが、全く違う料理で同じ名前なのでこちらは除外します。
カポナータのレシピ
主な材料:
ナス
玉ねぎ
セロリ
トマトペースト
オリーブ
ケッパー
白ワインビネガー
塩
砂糖
バジル
作り方:
1. ナスはオリーブオイルで揚げる。
2. よく炒めた玉ねぎに、セロリ、オリーブ、ケッパーとトマトペーストを加えて煮込む。
3. 揚げたナスを煮込んでいる野菜に加え、調味料と一緒に一煮立ちしたら火を止める。
4. 仕上げはバジリコを添え、常温でいただく。
固い堅パンのメニュー プーリア州の<フリゼッラ>
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元々はタラッリという伝統的な固焼きパンの一種。デュラム小麦や大麦で作られます。
ちょうどベーグルのような形状から、焼き立ての温かいうちに横半分に切り、もう一度焼いて水分がなくなった状態が出来上がり。
フリゼッラは1個分、複数の場合はフリゼッレと最後の語尾の発音が変化します。
主な産地はプーリア州ですが、バジリカータ州、カンパーニャ州、カラブリア州でも食されるメニューです。
このフリゼッレは今ではミラノのスーパーにも探せば売っていますが、とっても固いです。
ゴリゴリと食べれる固さではありません。カッチンコッチンでびくともしない固さなので歯で噛むことは出来ないくらいです。
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元祖のメニューは10世紀まで遡ります。 地中海貿易が盛んで地中海中を行き来していた頃、南イタリアでも航海をする男たちがたくさんいました。
そんな航海中にも食べれる保存食として生まれたのがこのフリゼッラです。
航海中の船では、フリゼッレを海水に浸すことでカチンコチンからサクッと食べれるくらい水分を吸わせてから食します。
水分がありすぎたらベトベトになっちゃいますが、適量の水分に浸すだけでさっくりとした歯触りになるので食べやすくなるんですよ!
長期保存か可能なため一度にたくさんの量を作って保存しながら食べていた料理です。
フリゼッレのレシピ
主な材料:
フリゼッレ
プチトマト
バジル
オレガノ
お好みでニンニク
塩
オリーブオイル
作り方:
1. フリゼッレに(お好みでニンニクを擦り込んだ後)少量の水をかけ水分を吸収させる。
2. 半分に切ったプチトマトをフリゼッレの上に並べていき、プチトマトを潰して中の水分をフリゼッレに吸わせる。
3. プチトマトを一旦退かせて程よい水分が染み込んだフリゼッレに塩とオリーブオイルを振る。
4. 刻んだバジルをのせ、再度に先ほどのプチトマトをトッピングして出来上がり。
日本ではフリゼッレが手に入るかどうかわかりませんが、シンプルで暑い時でも作りやすく、食べやすいレシピです。
イタリアンの定番メニュー モッツァレッラチーズが主役のカンパーナ州の<カプレーゼ>
カプレーゼは、日本でもよく知られているメニューですよね!
ナポリが州都のカンパーナ州はモッツァレラチーズ、特に濃厚な水牛のモッツァレラチーズが有名なので、この一品が誕生したのも自然な流れではないでしょうか。
なんでもカプリ島で初めてテーブルに登場したとのことで カプリ島風=カプレーゼの名が世界に広がったそうです。
普通のフレッシュなモッツァレラチーズももちろん美味しいのですが、この水牛(ブーファラ/バッファロー)のモッツァレッラ ディ・ブーファラMozzarella di Bufala、本場のは普通のと比べ物にならないくらい別物です!
チーズをフォークで上から抑えると濃厚なミルクが中からダラ~と滴って、とてもクリーミー。
口に入れるとトロットロになるくらい柔らかいのが特徴です。
これは一度ぜひ本場で本物のカプレーゼを食べていただきたいですね!
カプレーゼのレシピ
主な材料:
水牛のモッツァレッラ
トマト
バジル
オリーブオイル
お好みでオレガノと胡椒
作り方:
- スライスした水牛のモッツァレッラとトマトを交互に並べていく。
- バジルも並べてお好みでオレガノを使っても。
- 最後に塩と胡椒、オリーブオイルで味付けをして出来上がり!
ローマの定番メニュー ラーツィオ州の<ポモドーリ•リピエーニ•ディ•リーゾ>丸ごとトマトのライス詰
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ローマっ子の夏の定番メニューはなんとオーブンで焼くという作業があります。
料理する方は大変だと思いますが、これがまた美味しそうですね!
なんでもこのメニューはローマの食堂で、ユダヤ教のイースターの時期に食べれるものが限られており、パンなど発酵するものを食べることを禁じられていたため、お米を美味しく食べる知恵から生まれたレシピとも言われています。
中身をくりぬいた丸ごとトマトに、お米を詰めてオーブンで焼くのですが、トマトの下にはポテトを並べてローストポテトを同時に作るのがローマ流。
トマトの旨味を下からしっかりポテトが吸い上げてくれるのでとても美味しんだそうです。
私も唯一このレシピだけは本場で食べたことのないメニューなのでとても気になります!笑
出来上がりの熱々もおいしいけれども、冷まして翌日にお弁当として海やピクニックに持っていくそうですよ!
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丸ごとトマトのライス詰の作り方
主な材料:
トマト
お米
ニンニク
ジャガイモ
ドライオレガノ
バジル
イタリアンパセリ
オリーブオイル
塩
作り方:
- トマトのヘタ部分1cm幅に切って、トマトの中身をくり抜く。
- くりぬいた部分は微塵切りまたはフードプロセッサーなどでスープ上にする。
- スープ上になったトマトにドライオレガノ、ニンニクの微塵切り、お米を入れて塩で味をつけ30分ほど放置するとお米により味が染み込むのでおいしい。
- ジャガイモは皮をむきくし型にカットして、塩とコショウで味を整えオーブン皿に敷き詰めてオリーブオイルをまぶす。
- トマトにお米スープを入れ、予熱したオーブンに180°で30分~40分焼く。
翌日などはお米にしっかりと味が染み込んでより美味しくなるそうです。
オーブンを使うので夏の暑い時期にはなかなか大変かもしれませんが、最近では地元でもいろんなアレンジメニューがあるそう。
例えばオーブンで焼かずにトマトの中にサラダライスを詰めてさっぱりといただくレシピなどもあるので、おうちでも意外と簡単にアレンジしていただけそうですね!
癖になると病みつきになるトスカーナ州の定番メニュー<パンツァネッラ>
主にトスカーナ州でお馴染みの食べ残って固くなってしまったパンから発展して、パン入りサラダが出来上がりました。
中央イタリアのウンブリア州・マルケ州・アブルッツォ州でも呼び名に違いはあるものの食べられている夏のド定番メニューです。
特にトスカーナパンは水と小麦粉だけで作られたシンプルなパンのため、2日もたてばカチンコチンに固くなってしまいます。 現代のように食料が豊富にあった時代は少なく、一般庶民は常に食材の確保がマストだった時代、固くなってしまったパンを簡単に破棄することなどは出来ません。
そこで考え出されたのが夏はサラダ風にしたパンツァネッラ、冬は煮込み料理のリボッリータが生まれたのです。
パンは一度水にしっかりと浸して、スポンジのように十分な水分をふくんだら、今度は水気を思いっきり絞ってとっていきます。 パンがポロポロになったら準備完了です。
これを北イタリアのパンでやってしますとパンはぐちょぐちょになるので全然美味しくないのでお勧めしません。 本場のパンツァネッラはこのパンのボロボロ感が大事だったりします。
パンツァネッラは16世紀ごろには食されていたという記録が残っていますが、そのころはまだトマトは存在していなかったので玉ねぎがメインのサラダだったとも言われています。
今では、夏にパンツァネッラを食べるためにわざわざパンをそれように買ってわざと乾燥させて料理するご家庭も。
パンツァネッラの作り方
主な材料:
トスカーナ(塩なし)パン
トマト
玉ねぎ(トロペアなどのサラダ用があれば)
きゅうり
バジル
ワインビネガー
オリーブオイル
塩
作り方:
- まずはボールに水をたっぷりと入れ、カチンコチンに乾燥してしまったトスカーナパンを水に浸す。
- パンが柔らかくなったらボウルの水を捨て、パンに吸い込まれている余分な水分も手でギュッと絞ってパラパラの状態にする。
- トマト、きゅうり、玉ねぎを食べやすい大きさに切ったらパラパラのパンと混ぜる。
- ワインビネガー、塩、胡椒、オリーブオイルをかけ、冷蔵庫で味を馴染ませるために2時間ほど冷やす。
はまってしまうとやめられないエミーリア・ロマーニャ州の<生ハムとメロン>
これはもう日本でも前菜で召し上がる機会が多いメでしょうか?
生ハムとフルーツを同時に食べるこのメニューに、最初はどうしても抵抗がありますが慣れてしまうと生ハムの塩味とフルーツの甘みの塩梅がなんとも口の中でとろけてくれるので病みつきになりますね。
メロンの他にはイチジクも相性抜群。そして料理も簡単なので主婦には非常に助かるメニューです。笑
生ハムの歴史について
なんと、紀元前6世紀~5世紀には生ハムを食べる習慣があったとされているそうです!
2600年の歴史がある食材なんですね!特にイタリア中央にすでに生存していたエトルリア人が食べていたそう。
もちろんその後も古代ローマ人も食べており、’体にエネルギーを与え、消化にもいい’と評価されていたとか。特に豚の太もも肉をどのように長期保存できる食材として重宝していたかが伺えます。プロテインもしっかりあるそうですよ!
イタリア語で生ハムのことを「プロシュット・クルード」と呼びます。
クルードとは<生>、プロシュットは豚の太もも部分の名称です。
特にトスカーナ州やエミーリア・ロマーニャ州は豚の家畜の条件に非常に優れていたため生産が盛んになりました。
古代の人々の食生活の習慣がこのメニューを生んだ
古代ローマ人は菜食がほとんどだったそうです。食事は主に果物、野菜、豆類、それからたまに魚や肉を食べていました。
真夏は燃えるような暑さで、今のようにエアコンも氷もないですから口から火をふく勢いで身体中が暑いため、涼しいもの&水分を多く含んでいるものを好んで食べていたそうです。
古代ギリシャ時代から2つの全く違う食材同士を食べることを好んでいたそうです。
甘いx辛い、冷たいx熱い、ドライx水分多いなど
組み合わせも好まれていた習慣があったそうです。
この習慣がそのまま古代ローマにも伝わったんでしょうね。
例えば、チーズと洋梨、ピーチ (桃)とワイン、生ハムとメロンなどの組み合わせて食べられていました。
生ハムとメロンのメニューは2000年の歴史があったんですね!
生ハムとメロンは材料を取り分けてお皿に盛れば出来上がりなのでここでは作り方は省きます。
おいしいペーストはアレンジメニューの味方!リグーリア州の<ジェノヴェーゼペースト>
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リグーリア州はイタリアの20の州の中でもとても狭い面積の州です。 リヴィエラ海岸を東西に弧を描くように、そして内陸部分は急な斜面が広がっているのが特徴です。
この急な崖や斜面も工夫して栽培しているのがバジルなんですね。
イタリアの有数のバジルの生産地として有名で、原産地を証明するD.O.Pのブランドバジルが市場でも流れるようになりました。
バジルを使った料理はたくさんありますが、このジェノヴェーぜペーストが正式にメニューとして
文献に残っているのは1800年代と言われています。
ただ、似たようなレシピのものは古代ローマ時代や、1200年、1600年代の文献にも記載されているようですが食材や名称が曖昧なため断言が出来ないそうです。
最近は日本でも瓶詰めが市販されていますが、今回はせっかくなので作り方もご紹介します。
本当はすり鉢でバジルの葉を擦るようにペースト状にしていくと次第にふわふわと柔らかいペーストが仕上がって舌触りも軽くてさっぱりとなります。
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レシピにはチーズが入っていますが、そもそもチーズの外皮に近い固くてあまり美味しくいただけない部分を粉状にして最後までかしこく料理に使っていた知恵から、このレシピは誕生しました。
ジェノヴェーゼペーストの作り方
主な材料:
バジル
ニンニク
松の実(またはクルミ)
パルメザンチーズ
塩
オリーブオイル
作り方:
- バジルの葉をよく洗い、キッチンペーパーなどでよく水気を切っておく。
- ミキサーに適量のバジル、ニンニク、パルメザンチーズ、塩は控えめ、そして最後にまたバジルを入れてオリーブオイルをかける。
- ミキサーの偏った食材をかき混ぜながら残りのバジルやオリーブオイルを追加しつつペースト状に仕上げて出来上がり。
出来上がったら冷凍庫で長期保存も可能です。
無限にアレンジレシピが可能なジェノヴェーゼーペースト!
パスタにはもちろんリゾットやサイスサラダにも合います。 もちろんローストビーフのソースの代わりにジェノヴェーゼペーストでいただくのもまた良し。
焼き魚ペーストを添えたらあっという間にイタリアンに変身しますし、カリカリに焼いたフランスパンに塗って食べるのも美味。 冬もミネストローネスープや野菜スープにもちょんとトッピングするといつものスープがバジルの香りいっぱいになっていつもと違う味わいにもなります。
このペーストがあるだけで意外といろんな料理に使えるのでぜひアレンジでも楽しんでもらえたらと思います。
・・・・・
いかがでしたか?
思った以上に食事の会話にもぴったりなエピソードもお伝えできたでしょうか?
歴史を知りながら料理をするのも食べるのも楽しみがより深まると思うので、参考になれば嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました!