クリスマスシーズンが始まると街もイルミネーションやショーウィンドーの飾りも華やかになるのでウキウキしちゃいます。
クリスマスイブまたはクリスマス当日は各家庭で食事を準備するか、レストランの特別クリスマスメニューを堪能しながら久しぶりに集まる親戚達と楽しくお喋りしながら、フルコースを食べて、美味しいお酒も飲んでまったりと過ごすのがイタリア流。
今回はせっかくなので、イタリアの家庭で出されるクリスマス料理についてご紹介していこうと思います。
筆者のトスカーナ地方に本家のあるイタリア家族での食事や、イタリア料理専門学校のクチーナ・イタリアーナが発行している記事を参考にしました。
ざっくりと北部・中部・南部別でどういったものがよく食べられるのか、地域別の伝統料理がどのようなものなのか、その違いも楽しんでいただけたら嬉しいです。
クリスマス料理フルコースも基本は4皿
いつものようにイタリア料理のコースは、
1ー 前菜(アンティパスト)
2ー ファーストディッシュ(プリモ・ピアット)
3ー セカンドディッシュ(セコンド・ピアット → こちらがメイン)&つけ合わせ(コントルノ)
4ー デザート(ドルチェ)
以上の4皿のフルコースは変わりません。
ご家庭によってプリモを2品用意したり、セコンドを2品用意するなんてところもあります。
このようなフルコースはクリスマスか結婚式など特別なセレモニーの時くらいで普段はここまで食べるイタリア人も北部を中心に減ってきています。
イタリア人も体型を気にしたり、食生活を見直して健康的にヘルシー志向の方が増えてきています。
クリスマスイブのディナーとクリスマスランチ
イタリアでは、家族揃って食事やプレゼント交換を楽しみますが、傾向として中部や南部はクリスマスイブの夜、そして北部はクリスマスの昼を重視するのだそう。
24日は魚介を食べてヘルシーに、そして25日はお肉解禁でなんでもありの食事とテーマも若干違ってくるようです。
ちなみに、プレゼント交換はサンタクロースがやってきた後という設定で、
24日夜中の24時(25日の0時)または25日の朝起きてからというのが慣しのようですが、24日の夜や25日のランチ後のところも多いとか。
ファーストディッシュはパスタ類が多い
プリモは、第一の皿とも訳されることが多いですが、パスタはパスタでも北部や中部ではラヴィオリ系(つまり詰め物で餃子スタイル)がクリスマスではよく出されます。
詰め物の中もチーズのみ・リコッタチーズとほうれん草・カボチャ・肉など種類もさまざま。 地域や詰め物によってパスタの形も違ってくるのも面白いです。
名前もパスタの形でも色々でアニョロッティ(牛肉ボイル)、トルテッリーニ、カッペッレッティ、ラヴィオリ、、、本当にたくさんあるので楽しいです。笑
画像のカッペッレッティは自家製のもの。
イタリアマンマの腕の見せ所ですが、料理が得意ではない方はスーパーや食材店などで普通に売ってあるので市販のものを購入して料理します。
デザートの主役は全国共通パネットーネ!
そしてイタリア全国で共通しているのは食後のデザート。
ミラノ発祥のお菓子であるパネットーネです! クリスマスといえばパネットーネは王道なんですね!
最近はパネットーネもチョコ味も登場していますが定番中の定番はドライフルーツ入りのパネットーネです。レーズンやオレンジピールなどが生地の中に練り込まれています。
クリスマス伝統料理 イタリア北部編
では、北部の傾向をご紹介していきます。
イタリア北部は、西からピエモンテ州、リグーリア州、ロンバルディア州、ヴェネト州、フリウリ州、トレントーアルト・アーディジェ州の6州があります。
海のない地域は、肉料理がメインになりまして
プリモは、前述の通りラヴィオリ系が多いです。食べ方も、コンソメスープで頂いたり、バターとパルメザンチーズで頂いたりします。
そしてセコンドは、ボッリーティ・ミスティといって牛・鶏・豚の塊ミックスをボイルした一品を上品にスライスして、数種類用意されたソースでいただくのがご馳走とされています。
特にピエモンテ州が有名ですが、ロンバルディアもその傾向があります。
地域にもよりますがうなぎのホイル包み焼きやバッカラ(塩漬けのタラ)とポレンタ(とうもろこし粉のもったりとして粒々の舌触りが楽しい)、それからカッポーネ(鶏は鶏でも雄を去勢してたっぷりと太らせた高級食材。フランス語ではシャポン)の丸ごとローストなど。
他にもドイツに近いトレント地方になるとカープリオーロ(鹿)を食べるところもあるそうです。
クリスマス伝統料理 イタリア中部編
イタリア中部は、北からエミーリア・ロマーニャ州、トスカーナ州、ウンブリア州、マルケ州、ラーツィオ 州、アブルッツォ州、モリーゼ州の7州です。
中部の中でもプリモは、ラヴィオリ系パスタ入りのコンソメスープが多い傾向にあります。
バッカラ(塩漬けのタラ)料理は多く、トマトソース煮込みや揚げてフライにしたりと調理法も色々あるようです。
エミーリア・ロマーニャ州はボロネーゼ=ミートソースでお馴染みのボローニャが州都。パスタはパスタでも特に生パスタが有名な地域なので、ラヴィオリ系やラザーニャなんかも食卓に並びます。
パルマもこの州なので生ハムも欠かせません。サラミ類は前菜でマストですね。
トスカーナ州は前菜に、クロスティーニといってカリカリに焼いたパンにいろんなペーストを塗って食べます。 鶏レバーのパテや、黒トリュフのムース、トマトソースなどが定番です。
肉料理はホロホロ鳥、アヒルやカッポーネ(去勢鶏)などの丸ごとローストが食卓に並ぶことが多いそう。
ウンブリア州の肉料理は羊のローストや牛の煮込みが名物とか。
ローマのあるラーツィオ州は魚介スープや、アンチョビのパスタ、うなぎのフライ、カルピオーネというマスに似た淡水魚など魚料理も多く含まれています。
クリスマス伝統料理 イタリア南部編
イタリア南部は、カンパニーア州、バジリカータ州、バジリカータ州、プーリア 州、カラブリア州、シチリア州、そして島国のサルデーニャ州の全7州。
ナポリが州都のカンパーニャ州では、クリスマスイブに”うなぎの雌”を食べる習慣があるんだそうです。なんでも不死や治癒、罪からの癒しの象徴である蛇に形が似ているところから縁起物なんだそうですよ。
南部になると、魚料理も肉料理もなんでもあり。
ボンゴレパスタやキャベツと七面鳥のブイヨンスープ、バッカラ(タラの塩漬け)のフライやソープレッサータという豚のいろんな部位を煮込んでサラミソーセージにしたものなど、魚も肉もバリエーションが豊かです。
サルデーニャ島のパスタはイタリア本島とパスタの形がもっと原始的と言いますか、ショートパスタだったり粒のような形だったりと特徴があります。
イワシのパスタも有名ですが、サルチッチャ(イタリアソーセージ)を使った料理も豊富だったり、本島のようにラビオリ系のパスタをブイヨンスープでいただくこともあります。
つけ合わせにはオレンジのサラダなんかも有名です。
クリスマスのイタリア料理 前菜やつけ合わせは?
イタリアのアンティパスト(前菜)とメインのつけ合わせもざっくり少しご紹介します。
こちらは地域別に特徴があるというよりは全国共通でよく食卓に出されるものが多いです。
イタリアのオードブルと言えば生ハムやサラミ類は欠かせません。 イタリア女性にも人気の一口パイのヴォロヴェン、そして茹で卵入りのガランティーニなど
つけ合わせとしては、
ロシア風サラダ・カリフラワーのグラタン・ミニオニオンのビネガー漬け等等
冬のお野菜を上手に使っていろんなアレンジで食べられています。
イタリア各地のクリスマス料理をざっくり知ってみて・・・
イタリアらしくパスタ料理はマストでしたね。
南はやはり地中海気候で比較的暖かくもあるせいか、海と共に生活している傾向があるからかお魚料理が多かったように感じました。
ただ、カッポーネ(去勢鶏)はクリスマスらしい食材ということらしいですが、その他の食材は意外と普段でも食べているものが多いように感じました。
日本のお正月のように一つ一つの意味が込められた料理というよりかは昔から地域的に食べられていたご馳走が食卓に並んでいる印象でした。
・・・・
いかがでしたでしょうか?
ざっくりなクリスマスのお料理紹介でしたが、イタリア国内でも地域性がありましたね。
うなぎやバッカラ(タラの塩漬け)が各地方で登場したのは意外でした。少しでもイタリア一般家庭のクリスマス料理の雰囲気が感じてもらえたら嬉しいです。
この度も最後までお読みいただきありがとうございました!